BitGoにおけるBSV取り扱い停止に関するBitcoin Association の見解

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2020年2月4日におけるビットコインSV(BSV)の「ジェネシス」ハードフォーク後、BitGoにおいてビットコインSVの取り扱いが行われなくなることに関し、残念に思います。しかし、BitGoの顧客が行うBSVのトランザクション高は比較的少ないものであるため、BitGoの今回の決定を受けてBSVの現在の流動性に重大な影響が生じることはないと考えています。より多くのBSVの取引が行われている取引所では、BitGoのカスティディサービス以外のサービスを利用していると想定しています。

BitGoによると、今回の決定の主な理由として、BSVプロトコルにおいてP2SHのサポートが失効することが挙げられていました。この変更に伴う開発コストの負担を避けるのが目的ということです。nChainチームとしては、統合のための作業を除き、BitGoにおいて必要となる作業のうち重要な部分に関して行うことを提案しましたが、BitGoはジェネシスハードフォークの実行(P2SHの除去)をサポート提供するに伴い多額の金銭的要求を行い、関連BSVステークホルダーたちはこれを不適切であると判断し、その結果としてBitGoの金銭的要求を却下するに至りました。

P2SH(ペイトゥスクリプトハッシュ)は、サトシ氏がプロジェクトを離脱した後ビットコインコアの開発者たちによってビットコインプロトコルに加えられた機能であり、純粋なマルチシグネチャトランザクションにおける問題に対処することが目的でした。しかし、P2SHによってプライバシーおよびセキュリティ上の問題が発生することとなり、ビットコイン本来の設計におけるスマートコントラクト機能や透明性が損なわれる結果となりました。私たちは、ビットコインの将来を考慮した際、P2SHを除去した方がはるかに良いと判断しており、これによって各種事業においてビットコインを使用する際に規制に準拠できるようになり、さらにBitGoのようにビットコインエコシステムでカスティディソリューションを提供する企業が継続して事業を行なっていけるようになる、と考えています。

ここで残念なのは、各種ビットコインエコシステムにおいて、旧式のP2SH方式によってマルチシグネチャトランザクションが実行されることが通例となりつつある、ということです。ここでは、前ビットコインコア開発者たちが意図していたように、コインが移動されるまでコントラクトの内容が秘匿されたままとなります。この結果、ビットコインにおけるスマートコントラクトの可視性、すなわち法的執行性が失われるという、非常に大きな問題が発生します。ビットコインSVでは、スマートコントラクトの合法性および監査可能性はネットワークのセキュリティモデルの一部分となっており、BSVエコシステムではマルチシグネチャトランザクションやコントラクトの透明性を確保する上で別の方法がすでに開発されています。実際、ビットコインSVでサポートされている新しいマルチシグネチャモデルは、監査可能性および透明性が保証されているので、企業ユーザーとしてもトランザクション記録付けやその他の要件に関する一般的なルールに合法的な形で準拠することが可能となります。BitGoにおいても、エコシステム内のすべての参加者達が合法的に活動できるような形で暗号通貨を利用できるようにすべきであると考えます。

今後、BSVにおいてマルチシグネチャトランザクションを作成する際にP2SHは不要となり、不適切な使用を防いでいくという観点からも、サポートを停止する必要があると判断します。また、これによってモバイル機器上においてマルチシグネチャトランザクションを実装することも、より容易になります。実際、現在のP2SH仕様においては、コインを将来的に支払う側において引き換えスクリプトを半永久的に保管することが要求されており、これを実行していくのは困難です。本来のビットコインプロジェクトを体現する存在としてのビットコインSVは、プロトコルおよびプラットフォームを、ビットコイン本来のユースケースや機能へと回帰させていくことを目的としています。BSVがビットコイン本来の機能への回帰を目指すにあたっては、現在実行されている(誤った)各種方式を修正したり、間違ってBTCプロトコルに追加されてしまった機能によって重大な影響が生じる前にこうした機能を除去したりする必要があることは避けられません。ありがたいことに、ビットコインエコシステムはその普及のライフサイクルにおいてまだ早い段階にあります。既存の事業体においてBSVの方針に適合していくにあたって、一時的な不都合さといったものが発生するかもしれませんが、より普及が進む前の段階で、プロトコル内における各種過ちを修正するという方がはるかに良く、これによってBSVネットワークにおける長期的価値提案の創出が可能となるものと考えています。

これらの理由により、BSVにおいてP2SHへのサポートを中止することを受けてBSVの取り扱いを停止するというBitGoの決定は近視眼的なものであり、BitGoの判断は最終的に不適切なものとなるでしょう。

ここで、BitGoにおけるBSVの取り扱い停止を受け、BitGoの顧客およびBSVのカスティディソリューションの使用を検討している企業に影響が及ぶ可能性があります。そこでBitcoin Associationでは、BSVを保有するビジネス顧客の皆様におかれまして、BitGo以外の適切なソリューションをご利用いただくことを推奨しています。BSVに対応するその他のカスティディソリューションとしては、以下のものなどがあります。

Kingdom Trust
Prime Trust

なお、その他のサービスとも現在交渉を進めている最中です。

さらに、現在開発が行われている多くのウォレットプロジェクトが、ビットコインSV独自の、よりセキュアなマルチシグネチャモデルに対応予定となっています。実際、現在利用可能なP2SHベースのマルチシグネチャへの代替ソリューションとして、既存のソリューションと同程度の複雑性において実装可能なソリューションは複数存在します。ここで、nChainでは、P2SHより優れた代替テクノロジーの実装に取り組む業界人の皆様へのサポートを喜んで提供していきます。詳細に関してはnChainチームまで是非ご連絡ください。

– ジミー・グエン
Bitcoin Association創立者兼会長