ビットコインのエネルギー消費量と効率の測定

Alex Speirs 150 x 150
By Jamie McKane Published: 1月 12, 2022
energy consumption and efficiency of Bitcoin

「Blockchain and energy consumption: The quest for efficiency」(ブロックチェーン技術とエネルギー消費:効率性を求めて)と題した調査報告書で、カナダの会計事務所および事業顧問企業であるMNPが、 ビットコインSV(BSV)ブロックチェーンがビットコインキャッシュ(BCH)とビットコインコア(BTC)に比べはるかにエネルギー効率が高い ことを明らかにしました。

この違いは、これら3つのブロックチェーンすべてが同じプルーフ・オブ・ワークコンセンサスメカニズムを共有しているにもかかわらず起こっています。このメカニズムでは、マイナーはトランザクションを検証しデジタル台帳に追加するためにエネルギーを消費する必要があります。調査報告書は、BSVが他2つのプロトコルと違ってより効率的なのは、その本質的なスケーラビリティにあるとしています。

BSVブロックチェーンは、ビットコイン創造者のサトシ・ナカモトが描いたビットコイン当初のプロトコルに基づき構築されています。ネットワークでサポートされる最大ブロックサイズに人為的な上限を設定しているBTCやBCHとは異なり、BSVはビットコインの当初の設計に沿って無制限のブロックサイズを提供しています。つまり、BSVネットワーク上のブロックは、BCHやBTCよりもはるかに多くのトランザクションを含むことが可能で、より大量のデータを処理することもできます。

ブロックあたりのトランザクションとデータが増えるということは、各トランザクションまたはメガバイトあたりのデータ処理に使用される電力が少なくなり、電力効率の向上につながります。

「BTC、BSV、BCH、3つのビットコインプロトコルの中で、どのプロトコルが最も効率的であるか比較検討を行った。あらゆるビットコインプロトコルが、マイニング難易度がそのプロトコルそれを利用するマイナーの計算能力に影響されることを踏まえ、検証されたトランザクションあたりのキロワット時およびメガバイトあたりのキロワット時を効率性の指標とした。これらにより、各プロトコル間の主要な違いが浮き彫りになった。」とMNPは 調査報告書 に記しています。

「各種ネットワークのスループットを見ると、潜在的な処理能力の違いが効率性に大きく影響していることが明らかである。より制限的なプロトコルより、許容ブロックサイズが大きなプロトコルの方がネットワーク使用率がより高くなり、トランザクションあたりの消費電力、そして同様にメガバイトあたりの消費電力が減少する。BTCとBCHでの人為的なブロックサイズ上限は、トランザクションあたりの消費電力に甚大な影響を与える可能性がある。」

「現状のネットワーク上のブロックサイズとトランザクション数(スループット)および他のプロトコルの上限により、BSVはより効率的である。BSVネットワーク上のトランザクションのサイズや数が他のプロトコルの上限を超える限り、 BSV がこの3つのプロトコル中で最も効率的である。」と調査報告書は付け加えています。

 

ビットコインマイニングのエネルギー消費のモデル化

MNPの調査の最終目標は、SHA256ベースのマイニングを使用するプルーフ・オブ・ワーク・ブロックチェーンプロトコルのエネルギー効率を測定するために使用できるモデルを作成することでした。このフレームワークは今回はBSV、BTC、BCHに適用されましたが、他のビットコインベースのプロトコルのエネルギー効率を測定するのにも利用可能です。

このモデルを作成するに当たってMNPが直面した最大の障害の1つは、大手マイニング企業が使用するASIC(特定用途向け集積回路)マイニング設備のエネルギー消費量を決定することでした。この調査では、カナダに施設を持つ12のビットコインマイニング企業を対象とし、マイニング時に使用されるエネルギーを測定し、使用されたハードウェアと冷却ソリューションにも焦点が当てられました。

以下が、対象として選ばれたビットコインマイニング企業です。

  • Bitfarms
  • Hut8
  • Hive Blockchain Technologies Ltd.
  • Blockstream
  • DMG
  • Argo
  • Ocean Falls Blockchain
  • MAAS Blockchain
  • Miningsky
  • Plexus
  • ADMCO
  • Quotecolo

MNPは、一部のマイニング企業が実装している冷却コストを削減しながらハッシュレートを向上させることを目的とした、新しい冷却ソリューションについても言及しています。その中には、DMG Blockchainが導入して初の大きな成功を収めた浸漬冷却も含まれています。

MNPのモデリング手法では、BSV、BTC、BCHの消費電力をブロックあたりkWh、トランザクション(tx)あたりkWh、メガバイト(MB)あたりkWhで比較しています。その中でも後者2つは、ネットワークのトランザクション処理操作のエネルギー効率を決定づけるのに重要です。

「ここで説明するように、スループットとはブロックの補助的役割を果たすものです。ブロックは、最小のストレージサイズでトランザクションを含まない最小密度、あるいはプロトコルによって異なる最大密度で採掘される場合があるため、スループットはエネルギー消費に関して異なるプロトコルを識別する際の重要な要素である」とMNPはしています。

「ネットワーク上のマイナーの数、ハッシュパワー、および機器のエネルギー効率は、ブロックのマイニングに必要なエネルギー消費量に直接的に影響する。ブロックのマイニングに必要なエネルギー消費量は、他の2つの指標の消費に直接的な影響を与える。」

kWh/txとkWh/MBの数値は関連しているが、ユーザーの行動やマイナーの選択によって異なる、とMNPは付け加えています。

「ブロックにユーザートランザクションが含まれていない場合、コインベースの報酬が唯一のトランザクションとなるため、

トランザクションあたりの消費量はブロックあたりの消費量と等しい。マイナーが最大容量ブロックで検証するために異常に大きなトランザクションを選択した場合、トランザクション量が少なくなるため、トランザクションあたりの消費量はメガバイトあたりの消費量に比べ高くなると予測される。」

 

MNPのモデルと推測

MNPが開発したモデルは、ネットワーク全体のエネルギー消費量の推測において前述のデータを考慮しています。Blockchairが収集したブロックデータを基に、2020年4月1日から2021年6月13日までのネットワークデータを使用し、各ネットワークのブロック難易度を用いてネットワークのハッシュパワーを推測しました。

機器の効率を考慮する際、MNPはハードウェア機能の下限と上限で異なる効率を選択しています。

「エネルギー消費の下限値は、ネットワーク上で稼働するすべての機器がその時点で利用可能であり最も効率的なものであると仮定した。機器は2021年6月13日以前に利用可能なものを使用。この日付を選択することにより、機器の仕様でより効率的な機器はなく、更には消費量がより少なくなることを保証。この選択は、マイナーが機器の効率を改善するために用いる浸漬冷却によるオーバークロックなどの技術を補うのにも役立つ。」とMNPは述べています。

「消費の上限では、最も収益性が低いと推定される機器を使用。マイナーの損益分岐点に関するヘイズの方程式を使用して、どの機器が最も収益性が低いかを判断。この方程式は、マイナーのハッシュレートと効率、ブロック報酬におけるビットコイン数、ブロックの難易度に基づいて、機器が利益を上げるために必要なビットコインの最小値を計算するものである。」

MNPが推測した機器効率は、前述の上限値と下限値の間で機器の不偏平均を取ることにより、消費推定値の基となるものが選択されました。これら機器には、Bitmain、Ebang、Canaan、MicroBT、StrongU、Innosilicon、ASICminerからのさまざまなASICが含まれています。

2020年4月1日から2021年6月13日までの総エネルギー消費量は、次の関数に従って算出。

Blockchain technology and energy consumption: The quest for efficiency
出典:MNPレポート – 「Blockchain technology and energy consumption:The quest for efficiency」

これにより、MNPは3つの主要な基準に従いエネルギー消費量を推定することができました。

「当社の計算は、マイナースコープとネットワークスコープの両方で、各プロトコルチェーンの3つの主要な指標である、ブロックあたりの平均消費量、有効なトランザクションあたりの平均消費量、有効なメガバイトあたりの平均消費量の出力を測定。さらに、前セクションの各期間における採掘されたブロック数、検証されたトランザクション、検証されたメガバイトの合計を算出。」と調査報告書は記しています。

まず、合計は次のように計算:

‘Blockchain technology and energy consumption: The quest for efficiency’
出典:MNPレポート – 「Blockchain technology and energy consumption:The quest for efficiency」

これらの合計値から、MNPの比較に使用される主な指標の計算には、必要に応じて合計消費量をトランザクション、メガバイト、またはブロック合計で割るだけです。

Blockchain technology and energy consumption:
出典:MNPレポート – 「Blockchain technology and energy consumption:The quest for efficiency」

 

結果:最もエネルギー効率の高いブロックチェーンはBSVである

このモデルを推測に当てはめることで、MNPはそのスケーラビリティとブロックサイズの大きさにより、BSVブロックチェーンがBTCやBCHよりもはるかにエネルギー効率が高いブロックチェーンであると結論付けました。

「BTCでは、トランザクション当たりの消費量が時間の経過とともに着実に増加し続けている。2020年第2四半期の推計では430 kWh/トランザクションに始まり、2021年第2四半期には706 kWh/txに上っている。メガバイトあたりの推定消費量も同じパターンを辿っており、2020年第2四半期の約757 MWh/MBから9991MWh/MBの間で推移している。」と調査報告書は記しています。

「トランザクションあたりの推定消費量は、BCHでは2020年第3四半期に183 kWh/txでピークに達し、2021年第1四半期には6.5 kWh/txまで低下している。メガバイトあたりの推定消費量も同様で、2020年第3四半期に最大194 MWh/MB、2021年第1四半期に最小20.5MWh/MBである。」

しかしながら、BSVではトランザクションとメガバイト両方のスループットの推定消費量は比較的一貫しています。トランザクションあたりのエネルギー消費量は2.4kWh/txから3.3kWh/tx、メガバイトあたりの消費量は0.9MWh/MBから12.63MWh/MBの間で推移しています。

MNPのモデルは、SHA256プルーフ・オブ・ワーク・ブロックチェーンのプロトコル効率を洞察的に比較検証し、BSVがその高いスケーラビリティにより、競合するブロックチェーンよりもはるかに高い電力効率を提供することを発見しました。

調査報告書は、このモデルが同じコンセンサスメカニズムを使用する他のブロックチェーンにも適用できるとしていますが、今回の調査では業界で最も普及しているビットコインベースの3つのブロックチェーンプロトコルのみを対象としています。

「…この調査で、ブロックチェーンネットワークの電力消費量を予測することができると判明した。さらに、より効率的な実装はどれかを推測する際にも、この予測値を活用することが可能である。」と調査報告書は記しています。

「当社がサンプルとした3つの暗号通貨の中で、他のSHA-256プルーフ・オブ・ワーク・ブロックチェーンサンプルと比較した際、より効率的なブロックチェーンとなったのはBSVであった。」

気候変動の影響により、エネルギー効率や過剰な電力消費による環境への影響に対する懸念が世界中で高まっています。BSVはトランザクションスループットに比例して効率を向上させることができるため、他のブロックチェーンと比べはるかに優れた能力を備えていると言えます。