ビットコインベースのブロックチェーンネットワークのエネルギー効率についての新たな調査で、ビットコインSV (BSV) がビットコインコア (BTC) およびビットコインキャッシュ (BCH) プロトコルよりもはるかに効率的であることが明らかになりました。
「Blockchain technology and energy consumption:The quest for efficiency」(ブロックチェーン技術とエネルギー消費:効率性を求めて)と題した調査報告書で、カナダの会計事務所、税務および事業顧問企業であるMNPが3つのビットコインベースのブロックチェーンプロトコルを検証し、BSVブロックチェーンが他2つと比べはるかにエネルギー効率が高いことを明らかにしました。
BSVのはるかに優れたエネルギー効率は、すべてのネットワークのハッシュパワーとトランザクションボリュームが同等であったとしても明らかであり、他のプロトコルとのコアとなる設計の違いがもたらす機能、つまり人為的に設けられたブロックサイズの上限の撤廃であることがその理由です。
BSVブロックチェーンは、ビットコインの創設者であるサトシ・ナカモトの本来のビジョンに最も即して構築されたプロトコルです。結果として、ネットワークにより処理もしくは「マイニング」されるブロックの上限サイズを設けておらず、無限のスケーリングと無限のトランザクションボリュームを処理する力を提供しています。
「現状のネットワーク上のブロックサイズとトランザクション数(スループット)およびその他プロトコルの上限により、BSVはより効率的である。BSVネットワーク上のトランザクションのサイズまたは数が他のプロトコルの上限を超える限り、BSVがこの群の中で最も効率的である。」と調査報告書は記しています。
「ブロックチェーン技術が企業および消費者に採用されるに連れ、そして環境負荷と再生可能なエネルギーに向けた規制要件がより厳格になるに連れ、ブロックチェーンの持つ環境、特にエネルギー消費問題へのインパクトを理解することが重要である。」
BSV、BTC、BCHプロトコルのエネルギー効率の比較には、ネットワーク全体の効率を推定するモデルの構築が必要です。MNPはまさにこのことを調査において行い、これまでのブロックチェーンのエネルギー効率の調査活動を踏まえ、トランザクションおよびデータ量(メガバイト)毎の平均エネルギー消費量などにおいて各プロトコルの効率を推定しました。
ビットコインプロトコルとエネルギー効率
比較対象となったそれぞれのプロトルはSHA-256ベースのプルーフ・オブ・ワークコンセンサスメカニズムを採用しており、MNPのモデルにより相対的なエネルギー消費量が測定できます。プルーフ・オブ・ワークシステムでは、マイナーが計算能力(秒当たりのハッシュで計測)を消費して暗号問題を解くことで認証してトランザクションのブロックをブロックチェーンに書き込みます。この処理の難易度はマイナーのハッシュパワーに基づき動的に調整され、マイナーはブロックのマイニングに対しトランザクション手数料とブロック報酬を受け取ります。
「ビットコインの供給量は2,100万枚に限られており、ブロック報酬の固定額がノードオペレーターにより獲得されることで、新たなコインが流通に追加されていくものである。ブロック報酬は、2,100万枚のコインが流通するまで210,000ブロック(約4年)ごとに半減していき、初めに25、以降12.5、6.25、3.125と減っていく。」と調査報告書は記します。
MNPは、これによりネットワーク上の新たなコインの数が増えるにつれ、トランザクション手数料が結果的に上昇する必要があり、定期的に半減されるブロック報酬に置き換わることになるとしています。
ビットコインブロックチェーン上でのマイニング活動におけるエネルギー消費量は、ブロック報酬の増加およびより大きなハッシュパワーを出力できる新たなハードウェアが開発されるに連れ劇的に上がってきました。マイニングは一般消費者グレードのCPUによって完結する活動ではなくなり、特定用途向け集積回路(ASIC)がもたらす膨大なハッシュパワーを管理できる大規模組織のものとなりました。
「CPUとGPUの違いのように、ASICにはより効率的なものが存在する。ごく初期のASICは、今日のものと比べるとエネルギー消費量は膨大であった。」と調査報告書は記します。
「一定の期間でビットコインネットワークが消費するエネルギー量を決める主な要因は、設備である。この設備のあり方が、ビットコインブロックチェーンプロトコルとこのプロトコルをサポートし稼働させているネットワークの難易度指標にも影響している。」
MNPは、これまでの調査及びマイニング企業との協働、そして公に利用できるデータから、すべてのネットワークで用いられているSHA-256マイニング設備の適切な推量を出すことができました。この推量から、各プロトコルのエネルギー効率を計測するモデルを構築することができました。
効率性の鍵となるのはトランザクションスループット
このモデルをBSV、BTC、BCHプロトコルに当てはめ、調査の結果トランザクションおよびデータのメガバイト当たりのエネルギー消費量の適切な計測においては、BSVネットワークが他の2つより高いエネルギー効率を達成していると結論付けられました。
このより高いエネルギー効率は、異なる設備やプルーフ・オブ・ワークのメカニズムによるものではありません。3つすべてのプロトコルが、同じコンセンサスメカニズムを採用しています。BSVのエネルギー効率がより高いそのシンプルな理由は、ブロック当たり同じ量のエネルギーを用いる際に、トランザクションをはるかに高いスループットで処理できるからです。
「トランザクションは、スループットの究極の測定指標である。ブロックにおけるトランザクションの数とサイズは、ブロックのサイズに影響する。BTCでは、4MBほどのブロックサイズに厳密に制限されている。BCHはより許容力のある32MBの上限となっている。BSVでは、ブロックサイズは無制限である。マイニングはエネルギーを消費するものであり、ブロックはマイニングの産物であるため、ブロックにおけるトランザクションが多くなるほど、トランザクション当たりのエネルギー消費量は小さくなる。同様に、(メガバイト単位で測定した)ブロックが大きくなるほど、メガバイト当たりのエネルギー消費量は小さくなる。」と調査報告書は記しています。
MNPは、各プロトコルの2020年第2四半期から2021年第2四半期までのエネルギー効率をモデル化し、BTCがこの期間に他のプロトコルよりはるかに大きなエネルギーを消費したことを明らかにしました。
「調査結果は、BTCが他の2つの調査対象プロトコルに比べ、はるかに大きな電力を消費したことを示している。当社のモデルによる計算結果では、最も消費量が多いプロトコル(BTC)と
最も消費量が少ないプロトコル(BSV)の推定消費量の差は、2021年第1四半期で最大(16,0641.24 GWh)、2020年第2四半期で最小(11,343.25GWh)となった。当社の推計では、BTCは四半期当たりBSV の60~250倍の電力を消費していることが判明した。」
トランザクション当たりのエネルギー消費量
調査によると、BTCネットワークでのトランザクション当たりのエネルギー消費量はモデルとした対象期間に大幅に増加しており、トランザクション当たりのエネルギー消費の点で最もそしてはるかに非効率的なブロックチェーンであり続けています(kWh/トランザクションで計測)。
「BTCでは、トランザクション当たりの消費量は時間の経過とともに着実に増加し続けている。2020年第2四半期の推計では430 kWh/トランザクションに始まり、2021年第2四半期には706 kWh/トランザクションに上っている。」と調査報告書は記しています。
BCHプロトコルでは、トランザクション当たりの推定消費量は2020年第3四半期に183 kWh/トランザクションの最大値を示し、2021年第1四半期にはわずか6.5 kWh/トランザクションまで減少しました。
特に最小値においてはBTCのエネルギー消費よりはるかに低いながらも、BSVネットワークにおける一貫したエネルギー使用の効率にははるかに及びません。
MNPのモデルによれば、BSVネットワークでは、トランザクション当たりのエネルギー消費量は2020年第3四半期の3.3 kWh/トランザクションと同年第2四半期の2.4 kWh/トランザクションの間で推移しています。
これら3つのブロックチェーンプロトコルのトランザクション当たりのエネルギー消費量の違いは、以下のグラフに示しています。2つ目のグラフは、BSVとBCHのエネルギー効率の差を見やすくするため、BTCを除いています。
メガバイト当たりのエネルギー消費量
これらのブッロクチェーンプロトコルにおけるデータ処理量に対するエネルギー消費量のモデル化になると、BSVとその他の違いはさらに鮮明になります。
MNPの推計では、BTCネットワークではメガバイト(MB)当たりのエネルギー消費量の平均値は991MWhとなりました。これは、一般住宅の100年間の電力消費量を優に超える値となっています。
「メガバイト当たりの推定消費量はトランザクション当たりの消費量と同じパターンをたどり、2020年第2四半期の約757 MWh/メガバイトから2021年第2四半期の9991MWh/メガバイトの間で推移している。」と調査報告書は記しています。
BCHネットワークでのメガバイト当たりの推定消費量は、若干ましなものとなりました。MNPのモデルでは、2020年第3四半期の消費量が最大で194 MWh/メガバイト、2021年第1四半期が最小で20.5 MWh/メガバイトとなりました。
ただしここでも、BSVが他の比較対象に比べ群を抜いてはるかに高いエネルギー効率を示したプロトコルとなりました。MNPは、BSVネットワークでのメガバイト当たりの消費量を2020年第3四半期の最大12.63 MWh/MBと2021年第2四半期の0.9 MWh/メガバイトの範囲であると推計しました。
メガバイト当たりの消費量のこれらの差は、以下のグラフに示しています。ここでも、2つ目のグラフからはBSVとBCHの差がよりはっきりとわかるよう、BTCを除いています。